母の形見の着物を放置すること十数年。
いよいよ重い腰を上げて整理をしました。
調べていくうちに出会った「きもの辻」は着物専門のクリーニング店ですが、きもの辻が行っている「60分限定 着物仕分けの無料サービス」があまりに最高だったため、ぜひご紹介させてください。
※きもの辻のプロモーションではありません。私には一銭も入りません(笑)
この無料サービスは東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県にお住いの方限定ですが、着物の処分に困った際にはぜひ参考にしていただきたい内容です。
目次
きもの辻に出会う前 着物の買取を検索「相場は100円!?」
「着物は着ないから、捨てるよりは安くても買い取ってもらえる方がいいな」と、買い取り業者を探していました。
しかし、検索結果には買い取り業者の紹介サイトばかりで、実際の「個人による口コミ」はほぼ見当たりません。
「高価買取なんてない」「着物は1着100円が相場」「訪問での見積もりは、貴金属の買取もやっているからあれば見せてほしいと言われる」といった記事もありますが、ネットの話を拾って拡散されていることが多いように見えます。
- 人気産地、人気作家のものは高額査定もあることにはあるっぽい
- 中には「押し買い」をするような悪徳業者もあるらしい(これはニュースでも見かけますね)
ということだけはつかめましたが、結局自分で確認した方が早いということで、買取業者を調べることにしました。
買取業者はかなりあるようですが、「着物の買取専門店なら貴金属を見せろと言われることもないから安心」「着物を大事に考えてくれそう」と考え、電話で聞いてみることにしました。
着物買取 持ち込みと宅配買取ができる店舗に電話で聞いてみた
店舗と宅配便での買取をしている着物買取専門の業者を見つけて電話をしたところ、電話に出たのは「着物の査定を担当している」という男性でした。(きもの辻ではありません)
思い切って疑問をぶつけてみると、さすが査定担当者、話が早い。
- ブランド物や有名作家の帯は状態がよければ1万円の値段がつくこともあるけど、めったにないよ
- 喪服は買い取らない。だって今の時代着る人はいない(売れない)もの
- 買い取った着物は、シミ抜きやお直しが必要だと手間がかかるから、状態がいいものでないと値段はつかないよ
こちらの店舗では値段がつけばいい方で、古い、人気がない、状態がよくないものは買取りされないもよう。
「値段がつかなくても自分で捨てるよりはいいや」とか、「うちの着物は有名作家(1点数百万)のものだし、状態がいいから売れるはず」というものであれば、買い取り業者に頼むのは「アリ」だと思います。
わが家の着物は古いものが多く、有名作家のものでもありません。
「でも母が大事にしたものだしな」「私の成人式の着物はとっておきたいかな」「もしかしたら娘が着る機会があったりして」「自分で洋服にリメイクしようかな」と、いろいろ考えるのですが、残すにもリメイクするにも、着物の価値がわからないし、どれを処分してどれを残せばいいかわからない……
素人には正絹も化繊も見分けがつかないため、「誰か着物のこと教えてくれないかなー」と検索をしているところに登場したのが、「きもの辻」でした。
きもの辻の「60分限定 着物仕分けの無料サービス」とは
これはまさに私が求めていたサービスで、「ご自宅にお伺いし、着物の仕分けをお手伝いいたします」というもの。
しかも相手はプロなのに料金は無料。
なぜ60分限定かというと、きもの辻では着物のクリーニングを取りに行ったり届けたりという業務があるようで、「着物クリーニング作業・訪問の間のお伺いとなるため」とのこと。
いつでもOKというわけではなく、私の場合は「○月〇日にそちらの方面に向かう仕事があるため、○時ころにうかがうことができます」といった感じで調整をしていただきました。
60分という短い時間のため、利用には条件があります。
- 仕分けをしたい着物や帯をタンスから出し、事前に並べておいていただける方
- 仕分け後も、タンスへ戻すのはお客様自身で行っていただける方
私は、あらかじめ着物を全て包みから出し、残そうと考えているものと、「これは処分かな」と考えているものを分けておきました。
枚数が少ない場合はそこまですることもなかったと思いますが、数十点あったのと、なるべくたくさんのことを教えていただきたかったので見やすいように並べました。
「60分限定 着物仕分けの無料サービス」で亡き母の想いを感じる
当日いらしたのは女性の方でした。
その方が本当に素敵だったのです。
雑談と言うかヒアリングと言うか、ざっくばらんに会話をしながら着物を見ていただきます。
母が祖母のためにあつらえた着物の寸法を測りながら「おばあさまは背の高い方でしたか?」と聞かれました。
「背が高いというわけでもなく、150~155センチくらいでしょうか」と答えると「そうですか。年配の方にしては着物の寸法が長めにとってありますね。きっと着物を引き継がれることを考えていたのでしょうね」
母が一度も着ることのなかった黒留袖については、
「この柄はお母さまが着られるには若い柄ですね。帯を見ても、30代くらいの方が着るような柄だと思います。お嫁さんや、お嬢さんが着ることを考えて選ばれたのでは」とのこと。
確かにそれは母らしい考え方で、母からのメッセージを受け取ったような、母がそこにいるような気持ちになり、少し涙が出ました。
見ただけでわかるなんてさすがプロ!
畳んである着物や、積み重ねてある着物を見て、
「この帯はお母さまの成人式のものでしょうね。当時はこういった帯だったんです。寸法が短いはずですよ。」
「そこの重ねてある黄色と水色のお着物はいいものですよ。今はこのような光沢のあるお着物はなかなか店頭では見ることがありません」
「このお着物を残すのであれば、帯はこれとこれが合いますね」
私には驚くことがたくさんあり、プロフェッショナルってかっこいいなぁと感心しきり。
プロはもちろんカビや汚れも見落としません(笑)
未使用の帯に「カビが出ていますね」と言われました。
素人にはよく見えないというか、「ここです」と言われて「あー、確かに」とわかる程度。
私の成人式のお着物もカビや虫食いがあり、残念ながら残すには至りませんでした^^i
実際に着物を見てもらい、あきらめをつけることができた
どの着物も長い間タンスに入ったままで、いざ広げてみるとカビ、シミ、があるものがほとんどでした。
一見きれいな着物も、一度も袖を通していない喪服も、広げると白い胴裏(裏地)が盛大に黄変していてがっかり……
もし訪問買取をお願いしても断られるパターンであっただろうと、スッパリとあきらめがつきました。
「もしかしたらちょっといいものだったりして、高く売れたりしないかな」という淡い期待もきれいさっぱり(泣)
せっかちさんも納得!その場でわかるクリーニングの価格とお直しの価格
「きもの辻」は着物クリーニングの専門店ですが、着物の仕立てや染めなども行っているため、着物の状態を見て「お直しする場合の価格」や、「クリーニングする場合の価格」をすぐに知ることができます。
調べたところ、着物のアフターケアに関する相談は呉服屋さんでは難しいようですね。
というのは、販売店は売ることが専門であって、お直しやクリーニングは専門業者さんに任されるからです。
それが「きもの辻」であれば「お直しするのにいくらかかるかな」「洗ったらいくら?」という疑問がその場で解決されるため、「洗う、直す、処分をする」といった判断がすぐにできます。
せっかちさんには超おすすめと言えます。^^
誤解のないように書きますが、クリーニングやお直しを積極的に勧められることはありませんでした。
依頼者の意向に沿って、希望があれば承るというスタンスです。
仕分け無料サービスだけを受けて終わりでも何の問題もありませんし、私も当日は何のお願いもしませんでした。
母の形見を1点クリーニングへ 専門店という安心感
着物仕分け無料サービスから数日、私はどうしても未使用の黒留袖が気になり、形見として1点だけクリーニングをして残すことにしました。
なぜ決めるのに数日かかったかと言うと、まずは「着物を残したとして、果たしてそれを着るだろうか?着ないならクリーニングの必要はないし……」と悩んだこと。
さらに着物専門店のクリーニングは、町で見かけるクリーニング屋さんの着物洗いよりも金額が高いため、果たして着るかわからない着物のクリーニングに数万円かける意味があるだろうかと考えたことです。
結局、私は黒留袖を残すことにし、「カビ取り丸洗い」お願いしました。
金額は29700円。
高いですよね(笑)
でも格安のクリーニングに出すつもりはありませんでした。
私はめったにクリーニングを使わないのですが、クリーニングのトラブルに3回あったことがあるんです。
黒い大きなシミ、ひっかき傷、一番残念だったのは、柄に沿って凹凸のあるブラウスが、すべてプレスされて平らにされたこと……
それらはすべて「こちらの責任ではない。もとからだ」と言われ、本当に腹ただしかったんです。
もしトラブルが着物(しかも形見)だった場合、発狂すると思い、取次店のようなクリーニング屋さんには出さず、「きもの辻」にお願いしました。
やはり着物専門であることで、かなりの安心感がありました。
「もしかするとカビを落としてもカビ跡や変色はあるかもしれない」という事前の説明を受けていましたが、仕上がってきたものはそのような様子はなく一安心。
生まれ変わったような黒は、感動するほどでした。
娘(当時中1)は母が亡くなってから生まれたので、娘の祖母にあたる私の母には会ったことがありません。
「この着物を残すことにしたよ」と娘に見せたところ、「わー、きれいだね。私が大人になったら着れるの?」と言うのでうれしくなりました。
着物を通して私の娘と私の母につながりができたようで、残してよかったと心底思った瞬間でした。
まとめ
親が昭和前半の生まれであれば、まだまだ着物をたくさん持っていた時代。
タンス丸ごとの着物を引き継いで困っているというご家庭も珍しくないと思います。
義兄のところは「全部捨てた」と言っていて、潔さに脱帽(笑)
もし迷いがあるのであれば、(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県限定サービスではありますが)きもの辻の「60分限定 着物仕分けの無料サービス」をおすすめします。
先延ばしにしていた着物問題が解決し、本当にスッキリしました。
もう「あの着物どうしよう……」と考える時間が無くなると思うと、心が軽くなります。
その他の着物に関しては、シミや黄変があるものはかなり処分をしましたが、あとはリメイクをして楽しみます。
きもの辻さん、ありがとうございました。
きもの辻のホームページはこちらです⇒きもの辻 60分限定 着物仕分けの無料サービス